「突然だけど、新しい任務よ」
鋼鉄の女、と呼ばれる女上司からの無情な連絡にボクは思わず身構えてしまった。
「え? 今日からしばらく休暇に入るって言ってありましたよね?」
上司は、ボクの言葉が聞こえているはずなのに、何事もなかったかのように話を続ける。
難度の高い女装潜入任務を終え、ようやく休暇に入れると思っていたボクの元に女上司からの冷たい通達。
しかも、王族がらみの任務だという。
一体、どんなヤバイ仕事なのか……、そう思っていたボクは耳を疑った。
「え? ただ、学園生活を送るだけ……?」
「そうね。今渡した資料にある人間の学校……そこに生徒として編入して欲しいのよ。もちろん、『人間』として」
どうやら、神界の姫君が近々、人間界への留学を考えているようで、その下調べに行ってこい、ということだったようだ。
潜入先は人間界にある、人間だけが通うことのできるごくごく普通の学園。
そこに一体何が……。
ボクに選択の余地は無かった。
夏には長期休暇をとって思いっきりエンジョイしよう……。
そう思いつつも、ボクは顔に出さずに敬礼したのだった。
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